別れ

近所のカフェで、4年と少し付き合った彼に、別れよう、と伝えた。泣かない、と決意したのに、目頭を赤くさせている彼を見た途端、涙があとからあとから頬をつたった。わかが泣かんといてよ、と言われて必死にこらえた。
一人で決意して、何の予兆もなく突然驚かせてごめんなさい。


どうしても許せないところがあった。何度もそのことでケンカをして、そのたびに「直すから」と言うんだけど、性格的な部分はやっぱり直らない。

彼の「許せない」部分に一人で悩んでいるとき、入社した頃から気に入ってくれていた隣の部署の先輩から、彼氏がいることも知った上で真剣に告白された。ストレートに想いをぶつけてくれた。罪悪感を抱きながらも何度か一緒に遊んでから、彼氏のことよりも先輩のことばかり考えてしまうようになった。こんな宙ぶらりんな状態で先輩と遊ぶなんて、彼氏にも先輩にも失礼なことをしていることが嫌でたまらなかった。
彼と付き合っているあいだ、彼との時間を捨ててまで会いたいと思う人はいなかった。これからもきっといないし、このまま結婚もするのだろうなぁと思っていた。
でも、先輩との時間を優先させたいと思ってしまう自分がいた。彼に対して、「許せないところ」ばかり大きくなってしまっていた。先輩と距離が縮まる前は、「許せないところ」を何とか目をつむろうとしていたのに。


私のことを世界で一番愛してくれた。全てを受け入れてくれた。わがままにも全部つきあってくれた。本当に大事にしてくれた。彼の温もりは私を一番安心させてくれた。一緒にいる時間が大好きだった。二人して大口あけて、馬鹿みたいに笑ってる時間が大好きだった。
本当に感謝している。この感謝の気持ちが伝わっていますように。…なんて私が言うのはずるいのかな。

彼以上に私を愛してくれる人は、もういないかもしれない。もしかしたら、あの時別れなければよかったと後悔するかもしれない。でも、今の自分の気持ちに正直にいようと決めたから。先輩に会いたいと思う気持ちを今は信じる。


そういえば、そのカフェ、2年半前に内定式ついでに彼と一緒に東京旅行したときも行ったなぁ。